言葉の裏を読もう

2012.01.07

京都を旅していて一番困るのは、京都人の本音が見えないことだ、とはよく言われる話。まさしくその通りなので、返す言葉がない。繰り返し、戦乱の地を余儀なくされた京都、敵味方の区別が難しい。うっかり本音を表そうものなら、いつ滅ぼされるかわかったものではない。長い歴史の中で、自らを守る為自然と身に着いた智恵、それが本音を包み隠すことなのだ。ストレートな物言いはしないから、言葉の裏を読む必要がある。例えば割烹のカウンター。

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あなたの腕時計を見た主人が言う。「立派な時計ですなあ」と。それは褒め言葉ではなく、器を疵付ける時計を外して欲しい、というサイン。或いは携帯電話が鳴って、「お忙しそうですな」と言われたら、電源を切って欲しい、と暗に言っているのだ。もしくは品書きを見て、お奨めは何ですか?と尋ねて、「さあ、お口に合うもんかありますやろか」と返されたら、野暮な事は言わないで、全てお奨めですという気持ちの表れ。事ほど然様に京都人は直観な物言いはしない。だがそれは、陰湿なのではなく、直接的な言い方で相手を傷つけることを避けているのである。自分も傷付きたくない代わりに、相手も傷付けたくない、それが京都人である。それさえ理解すれば京都はやさしい。





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